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いろんなことがあるけど、生きていくかぎり


by rehamind

社会的入院とは?

 医療型療養病床の医療区分の詳細があきらかになりました。

 厚生労働省のHPです。

 疾患名による区分や、処置などによる区分ではありますが、結局は、
現在療養型病床に入院している患者様の50%が医療区分1になるように、はじめからラインを引いた
という噂に納得するような内容です。

 いくら奇麗事を言いたくても、一人あたりの診療報酬がいきなり三分の二になってしまっては、経営など成り立つわけがありません。
 当院も調査したところ、案の定、入院患者の三分の二は医療区分1にあたり、少なくとも、年間三千万の減収になることが明らかになっています。

 厚生労働省の主旨としては、社会的入院患者を抱え込んで、病院が儲けるのはけしからんということなのかもしれませんが、そもそも社会的入院とは?

 国は私たちが、手がかからない患者さんを、社会的な理由で、病院に抱え込んで、しめしめと儲けているとでも思っているのでしょうか?とんでもないと思います。
 私たちは、可能であるならば、患者様が家族に囲まれて、心身ともに健康な状態で在宅で生活できるのが、なによりも最高だと思っているし、なんとしても、そうなるように努力しているのです。入院中に可能な限りの機能回復と、機能維持。
それに加えて、家族の方と何度も話し合い、在宅の方向を探る。
 その繰り返しなんです。

 それでも、それがなかなか実現しない、現実。

 それは、なぜでしょう?

 「社会的入院」などというと、まるで、ぴんぴんしていて、自宅でも生活できるのに、自分や家族の都合で病院に滞在しているような印象を受けてしまいますが、今回医療区分1、すなわち、厚生労働省が「社会的入院」とみなしている患者様の実態は、恐ろしいくらい、それとは異なっているのです。

 大部分の医療区分1の患者様は、寝たきりであったり、排泄が自立していなかったり、歩行ができなかったり、痴呆で日常生活の判断ができない人達です。

 発症から2年、40代の脳出血の男性。重度の左片麻痺があり、排泄も介助。歩行も実用レベルに至らず。妻は学校の教員で働いていて7歳と12歳の子供あり。

 「はい。この人は社会的入院なので、今すぐ療養病床は退院し、奥さんは仕事をやめて、収入をなくして旦那さんの介護してくださいね」

 そういうことを、今回、国は声高に言っている。そういうことです。


 当院の経営者は「包括でも、必要な人にはリハビリテーションを行っても良い」と言ってくれましたが、診療報酬は三分の二になり、なおかつ、認められなくなったリハビリテーションを行う。はたして、良心的にやろうとすればするほど、成り立たなくなってくる状況で、生き残れるのでしょうか?


 
# by rehamind | 2006-04-29 14:06
まさに!という感じです。
今日はいつもトラックバックさせて頂いている、道免先生のブログの感想のようになってしまいますが、
「リハビリテーション打ち切り問題」を本当に的確に分類してくれています。

 詳細は道免先生のブログを参照ください。

 私は療養型病院で働くものなので、今回の改定で、たくさんのことを考えました。

ひとつは、うちの病院で、回復期リハ病棟の対象からこぼれた患者様をうちで受け入れて、法の目をくぐりぬけて(?)なんとかリハビリテーションを行うことができないだろうか?

二つ目は、現在入院中で、脳血管障害の慢性期(1年以上経過しているひとがほとんど)で、訓練もきちんとできていて、実際に機能改善がはかれている人をどうするか?介護型の療養病棟へ移せばいいのか?

三つ目は、いわゆる寝たきりに近く、関節可動域訓練や座位訓練を行って何とか機能維持をはかっている患者さんはどうすればいいのか?

四つ目はデイケアの受け入れ枠がなく、個別リハにも移行できず、訪問もあまり乗り気でない、外来患者をどうするのか?

五つ目は、本当にBI、FIMいずれかが10点以上低下って根拠あんの??という疑問

それ以外もいろいろあったように思いますが、以上のようなことで、頭の中が???
となっていました。
そのような状況を、道免先生は、本当に的確にとらえていらっしゃいます。

本当に、なぜ、リハビリテーションの従事者にも、「自分には関係ない」という態度を取りつづけるひとがいるのかは、摩訶不思議に思います。そもそもこの領域を仕事としているということは、リハマインドあってのことではないのでしょうか?そうしたら、これらに賛成にせよ反対にせよ熱い議論があってしかるべきだと思うのですが、、、、


 ともあれ、現実は実に厳しくなってきています。
医療型の療養病棟の医療区分のおかげで、当院も、リハを行っている元気な患者様を追い出し、リハを行えないような患者様でベッドを埋める方向に、じわじわと動いています。

 情けない。
# by rehamind | 2006-04-19 22:31

今こそ

 結局4月1日リセット案ということで、外来中止の連絡や、入院患者様への説明など、奔走したのが、なんだかよく分からなくなってしまいましたが、、、、

 事務方は、「な~んだ」と除外のこともあるし、空騒ぎしただけのような印象をもって、ほっと胸をなでおろしている感がありますが、いやいや、今こそ「ちょっと待て」と言いたいです。

 今こそ、効果があり、患者にとって必要なリハビリテーションをしっかりやっていかなければ、そしてそれを記録していかなければ大変なことになるという危機感があります。

 ある意味、法律は致し方ないというか、どうしようもないと思うのです。

 この環境の中でこそ、本当に患者の利益になることを、胸を張ってやっていきたいと思います。それこそが、専門性なのだと思うのです。

 寝たきりの患者様に、手足のROMをやらないため、おむつの着脱が大変になり、デクビを作りやすくなり、衰弱してゆくことがどういうことなのか、比較的若年で、高齢者と一緒にデイケアに来たがらず、個別リハの代わりに外来リハを行っていた脳卒中患者はどうなるのか、、、
 包括の中だろうと、やらなきゃいけないことはやる。
 包括だからやらない施設は、そういう施設なのだと考える。

 コスト、コストと大変な病院ではありますが、理解してもらえるよう、努力していきたい。

 そして、いつか国がそれを分かってくれれば、もっと嬉しい。
# by rehamind | 2006-04-02 21:16

原点に戻って

 診療報酬改定の影響で、現場は半ばパニックの様相を呈しておりますが、、、
一通り腹を立て終えたので、現実的に対応を考慮していかなければなりません。

 そもそもこの改定の意味を突き詰めれば、急性期のリハビリテーションで回復しなかった人は、その後寝たきりになっても、介護保険で面倒見ましょうということで、本来の介護予防推進であるとか、可能な限り「健康」な状態で生活していこうという主旨と正反対に位置するものに思われます。冷静に考えれば、非常におかしな物言いだと思うのですが、なぜか決まってしまったことなので、どうにも仕様がありません。

 経営者の立場で考えれば、はじめから不採算の部門に、予算やスタッフを割くことはできないと思うでしょうし、その狭間で、如何に患者様の全体的な健康や生活を改善させてゆくか考える必要があります。
 もちろんこれまでも漫然と行ってきたわけではありませんが、改めて、有効な治療やリハビリテーションの提供ということを科学的に検討しなおさならないと思われます。

 しかし、働く立場としては、そういった方向性で努力はしてゆくわけですが、現実、家族の受け入れの問題で、機能が改善しても在宅に移行できない患者様にどのように対応していったらよいのかは、解決できません。
 それを、それこそ厚生労働省が考えるように、「必要のない人が長期に入院し、必要のないリハビリテーションを行っているのだ」と言われてしまったら、そうかもしれないけれども、やらなければ、確実に機能が低下してしまう、介護保険の範疇で、維持的リハビリテーションをきちんと行える施設が無尽蔵にあるのならばいいのです。そして、それらの施設がすぐに入所できる状況であるならば、、、
 結局は機能を低下させて、寝たきりにして施設入所させましょう。という方針になるのでしょうか?

 腹は立て終えたつもりではありましたが、どうしても、「リハなんてやっても無駄」と言われているような気持ちがして、少し落ち込んでしまいます。

 すべての患者様のQOL向上のための専門職でありたいと思います。



 
# by rehamind | 2006-02-27 23:53

そこに何が残るのか?

次々と起こる介護保険や診療報酬の改定に戸惑う日々です。
「療養型に明日はない」という状況に危機感を感じます。

病院には急性期病院、回復期病院、療養型を経て、発症から1年近く経過した
脳卒中の患者様もたくさんいらっしゃいます。
 それまで歩行訓練をほとんどしてきておらず
(麻痺が重度だからなのか理由は理解できませんが)
こちらで初めて装具を作成し、近位監視レベルでの歩行を獲得される方も散見されます。

 かなり機能的に改善されても、結局、当院にたどり着くまでに、家族はすっかり在宅を諦めており、いくらご説明しても、最終的には転院や施設入所しか選択肢として残りません。
 本人もスタッフも一生懸命にやって、機能も改善され、それでもいずれは訓練がほとんどできない老人保健施設に入所し、車椅子生活となり、膝が拘縮し、、、、
と考えると、どこにぶつければよいか分からない怒りと悔しさを感じます。

 日々エビデンスに至らない患者様との関わりの中で、自分の存在価値を疑ってしまいますが
ナラティヴの視点に励まされ、また、がんばっていこうと思います。
# by rehamind | 2006-02-02 19:19